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施設管理者・事業者が知るべき!受動喫煙のリスクと対策
受動喫煙は健康リスクがあるだけでなく、トラブルにも発展します。また受動喫煙防止対策がルールに沿ってできていないと法的責任を伴うこともあります。今回は、受動喫煙における健康リスクやトラブル、それらを防止するための対策についてご紹介します。
目次
- 受動喫煙とは?
- 受動喫煙による健康リスク
・受動喫煙の煙は有害物質が多い
・受動喫煙が引き起こす病気 - 受動喫煙でのトラブル事例
・職場における受動喫煙トラブル - 受動喫煙防止は「マナー」から「ルール」へ
・受動喫煙防止対策のルールを徹底解説! - 改正健康増進法に違反するとどうなる?
・改正健康増進法で業務付けられたこと - 国の受動喫煙防止対策支援
- 東京都・大阪府の受動喫煙防止対策支援
- まとめ
受動喫煙とは?
受動喫煙とは、周りの人の喫煙により発生したたばこの煙を吸うことです。自分の意志とは関係なく吸い込んでしまったたばこの煙による健康被害が問題視されています。
受動喫煙による健康リスク
受動喫煙の煙は有害物質が多い
たばこの煙には2種類あります。喫煙者がたばこから直接吸い込む「主流煙」とたばこの先端から発生し喫煙者の周囲の人が吸い込んでしまう「副流煙」です。
副流煙は主流煙よりも多くの有害物質を含んでいます。ニコチン(ゴキブリの殺虫剤の成分)であれば主流煙の2.8~19.6倍、タール(ヤニ・発がん促進物質)であれば1.2~10.1倍と言われています。
受動喫煙が引き起こす病気
受動喫煙が問題視されていることは知っているけど「どれほどの健康リスクがあるの?」「たばこを吸っているわけではないのに病気になるの?」と感じる方もいらっしゃるでしょう。
受動喫煙による死亡者数は、日本全体で約1万5千人と推計されています。これは、交通事故の死亡者数の約6倍の人数であり、受動喫煙により脳卒中や肺がん等になるリスクが高くなることが科学的に明らかになっています。
具体的な健康被害には以下のようなものがあります。
出典:厚生労働省 喫煙の健康影響に関する検討会報告書 喫煙と健康2016改編
受動喫煙でのトラブル事例
受動喫煙は様々なトラブルを引き起こす要因にもなります。
職場における受動喫煙トラブル
職場は1日の大半を過ごす場所であり、そこで受動喫煙することは健康リスクを大きくしてしまいます。受動喫煙防止対策がきちんと取られていなければ、非喫煙者はストレスや不安を感じることでしょう。
・受動喫煙による健康被害で職場へ数百万円の訴訟
過去には受動喫煙による健康被害について従業員が数百万を請求した事件もあります。
職場の喫煙室が密閉されておらず外部に漏れた煙で受動喫煙してしまい、受動喫煙症および化学物質過敏症に罹患させたと従業員は主張しました。これに対して企業は法的な対応を強化し、オフィスの喫煙環境の改善に努めました。
この事件はメディアにも取り上げられ、多くの企業が受動喫煙防止対策を見直すきっかけとなりました。
最近では、受動喫煙によるストレスや健康リスクへの恐怖が原因で退職するケースもあるようです。現在は企業が求人情報・求人広告を掲載する際、「職場での受動喫煙防止の取り組み」を明示することが義務化されています。職場の喫煙環境を重要視している人が増えていることが分かります。
受動喫煙防止は「マナー」から「ルール」へ
2020年4月に改正健康増進法が施行され、受動喫煙防止対策が強化されました。
改正前の健康増進法では、受動喫煙防止対策は「努力義務」とされていましたが、改正健康増進法では、受動喫煙防止の取組みがしっかりとルール化されました。
後ほどご紹介しますが、改正健康増進法に違反すると最大50万円の罰則が適用されます。受動喫煙防止対策において、どのような施設がどのような対策を取らなければならないのかしっかり把握しておきましょう!
受動喫煙防止対策のルールを徹底解説!
改正健康増進法のポイントや受動喫煙防止対策について詳しく解説しています。ぜひ参考にご覧ください。
改正健康増進法に違反するとどうなる?
改正健康増進法に違反すると最大50万円の罰則が適用されます。
改正健康増進法で業務付けられたこと
「全ての人」に課せられている義務
・喫煙禁止場所における喫煙禁止
・紛らわしい標識の掲示禁止・標識の汚損等の禁止
「施設等の管理権原者・管理者」に課せられている義務
・喫煙器具・設備等の撤去等*
・喫煙室の基準適合
・施設要件の適合(喫煙目的施設に限る)
・施設標識の掲示
・施設標識の除去
・書類の保存(喫煙目的施設・既存特定飲食提供施設に限る)
・立入検査への対応*
・20歳未満の者の喫煙室への立入禁止*
・広告・宣伝(喫煙専用室以外の喫煙室設置施設等に限る)*
「管理権原者」とは
施設において防火対象物の正当な権利を所有している人(例:ビルや店舗の所有者・、企業の社長など)
「施設の管理者」とは
施設における事実上の管理者(例:店長や工場長など)
*を付した項目は、管理権原者に加え、施設の管理者にも義務が発生します。
国の受動喫煙防止対策支援
オフィスや飲食店・施設などで「受動喫煙防止対策」をしたい!という事業者様を対象に、今年度も【受動喫煙防止対策助成金】の申請受付が開始されました。
受動喫煙対策にかかる費用の3分の2(主たる業種の産業分類が飲食店以外は2分の1)を助成金として受け取ることができます(上限100万円)。
▼詳細はこちらの記事をご覧ください。
東京都・大阪府の受動喫煙防止対策支援
国だけでなく地域ごとでも受動喫煙防止対策に取り組んでいます。参考にご覧ください。
まとめ
いかがでしたか?今回は「受動喫煙におけるリスクと対策」についてご紹介しました。
「喫煙」においての価値観は人それぞれです。非喫煙者は受動喫煙による健康リスク、喫煙者は喫煙スペースが減っていることや分煙ルールが厳しくなっていることへのストレスを感じているでしょう。
望まない受動喫煙をしっかり防止し、喫煙者と非喫煙者が共存できる清潔で快適な喫煙環境を作っていきましょう!