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改正健康増進法に違反するとどんな罰則があるの?

2020年4月から受動喫煙防止が義務となり、改正健康増進法が施行されました。

この改正健康増進法では、受動喫煙防止対策についての様々な規定が定められており、違反者には50万円以下の罰則が適用されることがあります。

気づかぬうちに違反者とならないよう、ここで改めて改正健康増進法で定められている義務と罰則について確認しておきましょう!

目次

改正健康増進法とは?

改正健康増進法とは、もともと2002年に公布された健康増進法の一部が改正されたものです。
2019年7月1日から学校や病院などの敷地内が原則禁煙とされ、その後2020年4月に飲食店やオフィスなども屋内は原則禁煙となりました。

改正健康増進法のポイント

2020年4月に改正健康増進法で変わったポイントは以下の4点です。

・多くの施設において屋内が原則禁煙

改正法では、原則屋内禁煙となり、喫煙は専用の喫煙室でのみ可能です。
各施設によって禁止内容や分煙対策が異なります。

・20歳未満の方は喫煙エリア立入禁止

20歳未満の方は、喫煙を目的としない場合や従業員であっても、喫煙エリアには立入禁止です。

・屋内での喫煙は喫煙室の設置が必要

設置できる屋内で喫煙する場合は、国が定めた基準を満たす喫煙室の設置が必要です。
喫煙室の種類は施設によって異なります。

・喫煙室への標識掲示が義務化

喫煙可能な設備を持った施設には必ず、指定された標識の掲示が義務付けられています。
紛らわしい標識の掲示等は禁止されており、罰則の対象となります。

改正健康増進法で義務付けられたこと

改正健康増進法では、望まない受動喫煙の防止を図るため、特に健康影響が大きい子ども、患者の方に配慮し、多くの方が利用する施設の区分に応じて施設の一定の場所を除き喫煙を禁止するとともに、管理者の方が講ずべき措置等が定められました。

そんな改正健康増進法でどのようなことが義務付けられたかを確認してみましょう。

 

「全ての人」に課せられている義務

まず、施設の管理者だけではなく、喫煙を行う「全ての者」に課せられている義務は下記の2つです。

・喫煙禁止場所における喫煙禁止
・紛らわしい標識の掲示禁止・標識の汚損等の禁止

特に1つ目の「喫煙禁止場所における喫煙禁止」は、その場所が喫煙禁止場所だとは知らずにうっかり違反してしまう可能性もあります。

愛煙家の方は、自分が喫煙をしようとしている場所が喫煙可能かどうかを確認し、施設の管理者などは禁止場所で喫煙をしている人、喫煙をしようとしている人がいれば喫煙の中止、または施設からの退出を促すようにしましょう。

 

「施設等の管理権原者・管理者」に課せられている義務

次に、「施設等の管理権原者」に課された義務は下記の9つです。*を付した項目は、管理権原者に加え、施設の管理者にも義務が発生します。

・喫煙器具・設備等の撤去等
・喫煙室の基準適合
・施設要件の適合(喫煙目的施設に限る)
・施設標識の掲示
・施設標識の除去
・書類の保存(喫煙目的施設・既存特定飲食提供施設に限る)
・立入検査への対応
・20歳未満の者の喫煙室への立入禁止
・広告・宣伝(喫煙専用室以外の喫煙室設置施設等に限る)

「管理権原者」とは、施設において、防火対象物の正当な権利を所有している人のことを指します。

例としては、ビルや店舗の所有者、企業の社長等があたります。一方で、「施設の管理者」とは、施設における事実上の管理者のことを指し、店長や工場長などがあたります。

 

罰則について

それでは、先ほど述べた義務について、違反をするとどういった罰則があるのか解説していきます。

義務とその罰則(過料)についてまとめた表は下記の通りです。


(厚生労働省.なくそう!望まない受動喫煙より引用:https://jyudokitsuen.mhlw.go.jp/point/#anchor8

こちらの表を参照すると、先述した義務のほとんどに、違反による罰則が設けられていることが分かります。また、罰則による過料も高額で、最大で50万円以下の罰金が課せられてしまいます。

しかし、基本的には違反したからといってすぐに罰則を受けるわけではありません。違反が発覚した際は、まず指導や助言が行われます。それでも改善されない場合は、勧告・公表・命令といった手段が取られ、それでも改善が見られない場合、罰則として過料が課されることとなります。

 

特に難しい「喫煙室の基準適合」

次に施設等の管理権限者における義務の中でも注意が必要なのが「喫煙室の基準適合」です。

どのような喫煙室が基準に適合しているのかを理解していないと、知らぬ間に違反者となってしまうかもしれません。

そこで、ここからは喫煙室の基準について、解説していきます。

 

喫煙室の基準適合

まず、改正健康増進法の施行により、オフィスや飲食店などの第二種施設は原則屋内禁煙となりました。

しかし、屋内でも喫煙専用室を設置することで、屋内であっても喫煙専用室内部であれば喫煙可能とされています。

ただし、どのような喫煙専用室でも認められているわけではなく、改正健康増進法によって定められた基準に適合している必要があります。

その基準は下記の3点です。

1.喫煙室入口において室外から室内に流入する空気の気流が0.2m/秒以上であること
2.たばこの煙が喫煙室外に流出しないように壁・天井などによって区画されていること
3.たばこの煙が屋外に排気されていること

この3点を満たしていないものは、喫煙専用室とは認められません。

 

また、そのような基準に適合していない喫煙専用室を設置および使用していた場合には50万円以下の過料が課される恐れがあります。

しかし、この3点を満たすのは容易ではありません。

特に3つ目の「たばこの煙が屋外に排気されていること」などは、建物のダクト工事が必須であり、ハードルが高いと感じる方も多いでしょう。

 

脱煙機能付き喫煙ブース

もし、先述の3点の基準を満たすことが難しい場合、経過措置として「脱煙機能付き喫煙ブース」の設置をすることも認められています。

しかし、この「脱煙機能付き喫煙ブース」も改正健康増進法で定められている基準を満たすものでなければ、過料の罰則を課せられてしまいます。

脱煙機能付き喫煙ブースの基準は下記の2点です。

1.総揮発性有機化合物(TVOC)の除去率が95%以上であること
2.室外に排出される空気における浮遊粉塵の量が0.015mg /㎥以下であること

これらの基準を満たすものであれば、喫煙専用室の代替品として用いることができます。

 

 

喫煙専用室を設置する場合も、脱煙機能付き喫煙ブースを設置する場合も、基準に適合したスペースを設けられるよう、しっかり確認しておきましょう。

 

 

受動喫煙防止条例

また、国の法律である「改正健康増進法」とは別に、都道府県ごとに「受動喫煙防止条例」が施行されている場合があります。

義務の内容については基本的には改正健康増進法と同じですが、罰則については都道府県ごとに独自の規定が定められています。

例えば、改正健康増進法では「喫煙禁止場所における喫煙禁止」では30万円以下の過料がありますが、東京都の受動喫煙防止条例では3万円以下の罰金となっています。

違反した場合、両方の過料が同時に課せられるわけではなく、違反を指摘した方に支払う形となります。自分の地域の受動喫煙防止条例も確認し、違反となっていないかしっかりと対応しましょう。

 

まとめ

改正健康増進法では、喫煙者だけでなく、施設の運営者に対しても細かな義務が定められており、悪質と見なされた違反者には最大50万円以下の過料が課せられる場合もあります。

法律違反とならないよう、義務を正確に理解し、喫煙室を設置する場合は基準を満たしているか確認しましょう。

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出典:厚生労働省.”改正法のポイント”.なくそう!望まない受動喫煙.
https://jyudokitsuen.mhlw.go.jp/point/#anchor8 (参照2023-11-22)

 

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